【7】経営の壁:elamaの羅針盤④
今日も会合は、東が用意した事項書に従い進んでいる。
例によって東が中心となり
会議が取り仕切られている。
そう、傍目には映った。
ところが、藤田はすぐに気づく。
「スタッフが萎縮してる。
目的が東の了承を得るだけになってる。
elamaをよくするために始めた会議が
これでは本末転倒だ。」
そこで藤田は積極的にスタッフをフォローしはじめる。
「この部分をもう少し詳しく教えて。
あと、これは数字で示してみよう。」
「できない理由を並べるんじゃなくって、
改善ポイントを用意してみよっか。」
会議で出る提案を
事前に解像度高く仕上げておくよう藤田は努めた。
冷静さと明確さを徹底して。
さらに東にも率直に告げる。
「会議に緊張感は必要。
ただ、スタッフを萎縮させてしまっては
意味がないと思う。」
はじめは毎週、4~5時間にも及んだ会議が
一年の試行錯誤を繰り返した今では
月に一度の会議に落ち着いている。
「2歩進んだら1歩下がるみたいな
繰り返しですけど。」
東は微笑ましげに語る。
「熱血タイプの私を、
藤田がしっかり微調整してくれるんです」
藤田もまた
「自分があれこれ言うせいか、
東もメモを多く取ったり
動画や本で勉強を始めたんです」
東は言う。
「最初は会議のたびに
15~16項目ぐらいまとめてたんです。
スマホのメモに。
でも、それが徐々に減っていくんですよね。」
「10個になり、今じゃ4つぐらいに圧縮されました。」
「1件ずつの濃度を高めるようになったんです。」
東の突進力と
その勢いを藤田が巧みに舵取りし
今では、
時間を短くしながら質を上げることに成功したのだ。
2人の止まぬ組織改革への探究心と絶妙な連携
さらに呼応するスタッフたちが
いまのelamaを築き上げている。
(終わり)